11/12 晴
関西空港 ~ 愛媛
旅の終わりに
すんなり入国審査通過。
JR乗り場へ向かってコンコースに出ると、
ビュッと冷たい風がひと吹き、
顔をはたいていきました。
日本に戻ってきたんだと目が覚める。
10日間夢を見ている間に、
季節は秋深く進んでいました。
旅が終わった虚脱感でしょうか、
電車の車窓からぼんやりと外を見続けていました。
するとネパールに戻りたい衝動が次第に湧いてきました。
駅のホームでうつむいて行儀よく並んでいる人々、
沢山住んでいるはずなのに人気(ひとけ)を感じないマンション群、
子供が遊んでない寂しい公園。
日本が生気の薄い荒涼とした世界に思えてきました。
対照的に、
カトマンズやの湧きたつような喧騒。
我先にと気ままに走りまわる車やバイク。
打ちとけやすくて屈託のない人々。
ここかしこで見かける瞳の輝く子供たち。
山村のつつましい暮らしと穏やかな村人たち。
グツグツのゴッタ煮で
生命力溢れる世界がネパールにはありました。

この旅をするまでは、
日本には何でもあるし大概のものは揃っていると思っていました。
ネパールは
停電する、
燃料がない、
トイレの水が流れない、
料理は遅い、
道がボコボコのないないだらけ。
しかしネパールにも日本にないものがありました。
「人間臭くて温かな雰囲気と完璧を求めないユルさ」が
恋しくなっていました。
もっと「楽にいけば!」って、
のんびり居心地よくしてくれたのですから。

通りすがりの旅人の欲目かもしれませんが、
それは出会った沢山のネパール人と
アンナプルナの壮大な山並みが教えてくれたことだと思います。
いつの日かもう一度、ネパールを旅してまわりたいものです。
(終わり)